岡山大学工学部 妹尾研究室
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研究内容

本研究室では、人類の健康と医療に役立つ研究として、細胞工学からナノテクノロジーや分子デザインまでを融合した次世代新技術のイノベーションを蓄積しています.

【主な研究内容】

  1. がん幹細胞研究-これまでに無かった新しいがん研究への挑戦ー
     人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り出す技術が2006年に開発されて以来、再生医療技術の発展に拍車がかかりました。iPS細胞はどのような細胞にでも分化できる万能細胞で、神経、筋肉、血液などを構成する様々な細胞へ分化させることができる細胞と言えますが、この分化を自在にコントロールするにはその条件を把握することが最も重要です。私たちは、このiPS細胞の万能性を利用して、がん細胞の素となるがん幹細胞を作り出す技術の研究を行っています。外来遺伝子の導入や遺伝子変異の導入を意図的には行わないのが、この技術の基本であり、大きな特徴です。この意味で、がん幹細胞の作成はいわゆる「形質転換」とは区別されるべきもので、私たちは幹細胞からの分化の一つに位置付けて考えています。現段階で、マウスおよびヒトのiPS細胞からがん幹細胞を作り出すことに成功しています。このがん幹細胞を誘導する条件には、がん細胞株の培養上清を利用していますが、現在この中に含まれる原因因子の解析を行っています。
     また、これまでの研究からがん幹細胞は複数種類の存在が明らかとなりました。このことから類推するとiPS細胞の万能性を利用することであらゆる全てのがん幹細胞を作成できる可能性が予想されます。私たちはこのあらゆる全てのがん幹細胞を準備してコレクションとし、これまでにない新しいがん研究の分野を創造していきます。すでに、がんが日本人の疾病による死亡率の第1位を占めて30年以上が経過していますが、この死亡率は現在も上昇しています。これは、これまでのがん研究に不足していた概念が存在することを示唆していますが、私たちのがん幹細胞を作成する技術と作成されたがん幹細胞を利用することで、今までになかった治療法の開発や制癌剤の開発が実現できると考えられます。


  2. 組織や細胞のプロファイリング技術の研究
     DNAマイクロアレイの解析結果をわかりやすく表現するために自己組織化マップ(SOM)でクラスタリングを行い、その結果を球面上に表現して細胞や組織の特徴を視覚的に把握する試みを行っています。この方法は、DNAマイクロアレイだけではなく大量データを解析してデータマイニングを行う場合に有効です。上記のがん幹細胞の分類等に利用しています。ヒト脳腫瘍細胞細胞株の遺伝子発現プロフィールを本方法で解析してCD44が高発現していることを見出した実績もあります。



  3. リポソームと分子標的技術を組み合わせるドラッグデリバリーシステム技術の研究
      ドラッグデリバリーシステムとは生体内の病巣へ薬を送り届ける技術です。細胞や組織に正確に薬剤を送り届けることにより副作用を少なく効果を最大限に引き出すことが可能になると期待されています。私たちは脂質で形成される直径100〜200nmのリポソーム(ナノカプセル)の中に溶解度差を利用するリモートローディング法などにより制がん剤を効率良く封入する方法の開発をはじめとして、種々の細胞表面抗原を標的するための技術を開発し、in vivoで副作用が少なく効率の良く機能するドラッグデリバリーシステムの技術を研究しています。これまでに、制がん剤として、シスプラチン、糖付加型パクリタキセル、ドセタキセルなどを効率よく封入することに成功しています。また、細胞表面抗原として、乳癌で有名なHER2やメタロマトリックスプロテアーゼの標的にも成功しています。









  4. 幹細胞の分化増殖を制御する研究
     膵内分泌細胞の分化誘導:現代成人病の代表ともいわれる「糖尿病」では膵臓の内分泌細胞であるβ細胞のインスリン産生能力が低下します。このβ細胞を再生する因子としてベータセルリンが知られていますが、私たちはこの因子の遺伝子組換え体を調製する技術からこれに遺伝子の変異を加えて、β細胞の前駆細胞を成熟させる活性だけをもつ新規分子をデザインすることに成功しています。これまでは、ラットのがん細胞株やラットの個体を用いた研究が主でしたが、このベータセルリンをiPS細胞(幹細胞)へ応用してβ細胞への分化誘導を試みようと考えています。
    心筋細胞の分化誘導:ヒトの白血球が持つ因子(CmDF)に細胞分化を誘導する活性を見いだし、これを再生医療へ応用する研究を行ってきました。心筋細胞の分化誘導促進活性は心筋症への応用を目的としてその作用メカニズムを研究中です。
    左下の動画は、マウスの胚性腫瘍細胞株P19 をCmDF を用いて心筋細胞へと分化させたものを撮影したものです。
     また、CmDFは種々の細胞への効果を示すことを示唆するデータも得られています。iPS細胞などをを用いて再生医療への応用にも可能性を広げて行きたいと考えています。







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  5. 微細な規則的構造物を産出する微生物の研究
      地中や地下水の中には、興味深い細菌が数多く棲息しています。その中には、規則的な微細構造物を出す能力のあるものがいます。未だその正体の分かっていないものも多く、中には規則的な微細構造を生み出す能力を持つものも居ますが詳細は解明されていません。私たちはこのような細菌の中でもLeptothrix Ochraceagaが形成する均一な管腔の微細構造を解析し、さらにはこれを新規で有効な材料として役立てていく研究に着手しています。



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